よく聞く質問です。
簡単に言うと、精神や心の世界を専門に診るのが「精神科」。
心の問題で起こる体の不調を専門に診るのが「心療内科」だと言えます。
しかしイメージとして一般には「精神科」は重症な精神障害者が行くところ。
うつなど軽い心の病気の時に行くところが「心療内科」と考えられているようです。
「精神科」に行くと薬中心で、「心療内科」ではカウンセリングをしてもらえる、と考える方もいらっしゃることでしょう。
しかし、いずれも正しくはありません。
「精神科」でも軽いうつ病の方や、パニック障害、不眠の方などを診ますし、必要に応じてカウンセリングもします。
また「心療内科」でも、カウンセリングなしで薬だけが処方されることがあります。
でもやっぱり「精神科」と聞くと、通うのに抵抗を感じるのですが・・・。
確かにそうかもしれません。
しかし私たちのように診療科目に「精神科」をきちんと揚げている病院には、ある「誇り」があります。
その「誇り」とはいったい何だと思われますか?
精神の世界は実に奥が深く、ただストレスによってのみ病気が起こるとは限りません。
また、統合失調症(精神分裂病)をはじめ、その専門的治療を必要とする病気もたくさんあります。
そのような精神の専門的治療をしている「精神科」であればこそ、様々な難しい心の病気から軽い心の問題まで幅の広い治療が可能となるのです。
「精神科」には、そういった精神世界のきちんとしたトレーニングを受けた先生達が多く集まっています。
最近では不眠やうつを「内科」の先生に診てもらい、薬をもらって治療されている方も多いようです。
「内科」で睡眠薬やうつの薬をもらっても悪い訳ではないのですが、眠れないと言うとやたらと睡眠薬を処方されたり、「うつ」を「自律神経失調症」と診断され、漢方薬を長い間処方される事もよくあります。
しかし「内科」はやはり身体の病気を診るところ。
精神のことを専門に診るからこそ、私達は「精神科」という診療科目名を誇りに思っているのです。
では「心療内科」はどうでしょう。
そもそも「心療内科」という科目名は胃潰瘍やめまい、頭痛など精神的なストレスが身体に影響を及ぼし体の病気を作っていることに着目して、その治療を専門的に行う目的で設置された新しい科目名です。
ということは「心療内科」だけを掲げているクリニックや病院は心の専門ではなく、あくまでも「内科」の一部と考えて良いのではないでしょうか。
悩みや心の問題があるときには、きちんと「精神科」をかかげているところに行かれることをお勧めします。
それが私たち「精神科」医師の自信と誇りです。